【ネットワーク】マルチメディア通信の技術

概要

インターネット電話のVoIPやビデオ会議などのマルチメディア通信では、信頼性よりも即時性が求められるため、UDPが採用されます。また、通信相手の検索、呼び出し、通信形式を決める呼制御やデータ本体の特性に合わせた転送の仕様、大容量データの転送には圧縮技術も必要です。

H.323

H.323は、インターネット上で音声やビデオ通話を行うための規格であり、ビデオ会議やIP電話に広く利用されています。この規格では、IP電話やビデオカメラなどの端末、端末の管理や制御を行うゲートキーパー、他ネットワークとつなぐゲートウェイが重要な役割を果たします。H.323はさまざまなネットワーク間で通信ができるように設計されていますが、セキュリティや通信品質の課題も存在します。

さらに、H.323は複数のプロトコルで構成されており、具体的には登録・承認・状態管理を担うRAS、通話制御を行うQ.931、メディアの制御やコーデックの交渉を行うH.245などが含まれています。

SIP

SIP(Session Initiation Protocol)は、インターネットを通じてセッションの開始や制御を行うプロトコルです。H.323よりも簡素な構成で、主に呼制御や通信の開始や終了の合意を意味するシグナリングを担当します。端末間のやり取りで呼制御を行い、通信のための準備を整えますが、実際のデータ転送はSIP自体では行いません。そのシンプルな構成から、VoIPだけでなく、さまざまなアプリケーションで利用されています。

RTP

RTP(Real-Time Transport Protocol)は、信頼性のないUDPを基盤とした通信プロトコルで、主にメディアのストリーミングに使用されます。例えば、H.264ビデオやOpusオーディオなどのコーデックをサポートします。RTPパケットにはシーケンス番号やタイムスタンプが含まれ、これにより受信側のアプリケーションはデータの並び替えや再生タイミングの調整を行います。また、ヘッダーの拡張機能で追加のメタデータや品質情報の伝送が可能です。通信環境の不安定さに対応するため、RTPはエラー回復機能やフレーム間の依存関係の管理を含む機構を備えています。また、RTCP(RTP Control Protocol)は通信品質のモニタリングや制御を担当し、パケットの送信レートを調整します。

RTPの実装では、ネットワーク遅延やジッターの管理、適切なコーデックの選択が重要です。また、セキュリティ面ではSRTPによる暗号化が推奨され、データの安全性を確保します。

デジタル圧縮技術

マルチメディア放送では、限られたネットワーク資源を効率的に活用するために圧縮技術が重要です。データを小さくすることで帯域幅を節約し、送受信の効率を向上させる役割があります。また、圧縮技術の選択には画質や音質の劣化を最小限に抑えるバランスを考慮する必要があります。MPEGやITU-Tはそれぞれの圧縮技術を標準化しており、最新のH.264やH.265ではより高効率な圧縮が可能です。これにより、多様なマルチメディアアプリケーションに広く応用されています。

HTTPを利用したストリーミング配信

インターネットを通じたマルチメディア通信では、NATやファイアウォールによる制約が課題となっています。このため、HTTPを利用したストリーミング配信が提案されました。ストリーミング技術は過去の「ダウンロード後に再生する方法」から進化し、「ダウンロードした部分から即座に再生する」疑似ストリーミング方式を採用しています。特に近年では、再生環境やネットワーク状態に応じて動画の品質を自動的に最適化するABR(Adaptive Bitrate Streaming)方式が主流となっています。将来的には、5Gの普及や次世代のコーデックの導入により、より高品質でスムーズなストリーミング体験が提供されることが期待されています。

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