DS023:ベイズの定理を説明できる
この記事で解決できる疑問
・ベイズの定理って結局どういう意味?
・条件付き確率って何が条件になるの?
・検査結果やデータをどう信頼すべきか迷う…
そんな疑問を感じているあなたへ。
この記事では、ベイズの定理の仕組みを式だけでなく、日常的な例(医療検査など)とともにわかりやすく解説します。数式が苦手でも理解できるように丁寧に進めていきます。
ベイズの定理とは?
ベイズの定理は、ある事象の確率を「新しい情報」をもとに更新するための数学的なルールです。
一言でいうなら、「状況が変わったときに、確率をどう修正すればよいか?」を示す考え方です。
ベイズの定理の式
まずは基本の式から確認しましょう。

記号 | 意味 |
---|---|
P(A) | Aが起こる確率(事前確率) |
P(B | A) |
P(B) | Bが起こる全体の確率(周辺確率) |
P(A | B) |
周辺確率P(B)の求め方
Bが起こる確率(P(B))は、Aが起きた場合とAが起きなかった場合の両方を考慮して求めます。

このように、全体の確率を加重平均で出すのがポイントです。
具体例で理解する:医療検査のケース
ここで、よく使われる医療検査の例を使って、実際にベイズの定理を使ってみましょう。
ある病気の検査の例
・ある病気の罹患率(事前確率):1%(P(病気) = 0.01)
・検査が陽性となる確率(感度):90%(P(陽性|病気) = 0.9)
・健康なのに陽性になる確率(偽陽性率):5%(P(陽性|健康) = 0.05)
質問
「検査で陽性だったとき、本当に病気である確率は?」
計算
1,P(陽性)(周辺確率)を求める。
P(陽性) = 0.9 × 0.01 + 0.05 × 0.99 = 0.009 + 0.0495 = 0.0585
2,P(病気|陽性)(事後確率)を求める。
P(病気∣陽性) = 0.9 × 0.01 ÷ 0.0585 = 0.1538(約15.4%)
意外な結果
検査で陽性でも、実際に病気である確率は約15%しかありません。
これは直感と大きく違いますが、まさにこのズレを正してくれるのがベイズの定理です。
ベイズの定理の活用シーン
ベイズの定理は、日常やビジネスのさまざまな場面で使われています。
活用例
・マーケティング:クリックした人が購入する確率を更新
・メールのスパム判定:特定の単語の出現頻度で判断
・医療診断支援:症状が出たときに特定の病気の可能性を推定
・AI・機械学習:ナイーブベイズ分類器など
よくある誤解と注意点
誤解1:陽性なら高確率で病気だと思ってしまう
ベイズの定理では事前確率が小さいと、事後確率も小さくなるのが基本です。
誤解2:ベイズの定理=絶対的な答え
実際には「今ある情報から見た確率」を出すだけ。情報が変われば確率も変わります。
ベイズの定理を直感的に理解するコツ
・「確率を“更新”するための考え方」だと捉える
・感覚に頼らず式でしっかり計算する
・「少しでも信頼度を上げる」ための地道な積み重ねと考える
まとめ
ベイズの定理は、新しい証拠によって確率を柔軟にアップデートするための強力なツールです。
数式は少し複雑に感じられますが、「事前確率」「尤度」「周辺確率」を使って「事後確率」を出すという構造を押さえれば、ビジネスでも日常でも使える判断の武器になります。
誤解しやすい部分もありますが、検査や予測など不確実な状況において、判断の精度を高めるための考え方として、ぜひ身につけておきたい内容です。
コメント