はじめに
正規分布は、統計やデータ分析で頻繁に登場する確率分布です。ただ、「釣鐘型のグラフ」という見た目は知っていても、平均や標準偏差が何を決めているのか、グラフから何を読み取ればよいのかは分かりにくいことがあります。
正規分布では、平均が分布の中心を決め、標準偏差が値の広がりを決めます。この記事では、この2つを軸に正規分布の特徴を整理し、正規分布のグラフを基本的に読める状態を目指します。
この記事で分かること
- 正規分布とはどのような確率分布か
- 平均と標準偏差が分布の形にどう関係するか
- 平均から標準偏差何個分の範囲に値が集まるか
- 標準正規分布との違い
正規分布とは
正規分布とは、平均を中心に左右対称の釣鐘型をした連続型の確率分布です。確率分布そのものの意味を先に確認したい場合は、「確率分布の種類と特徴をわかりやすく解説」を参照してください。
正規分布は、一般に平均を μ(ミュー)、分散を σ²(シグマの二乗)として、X ~ N(μ, σ²) のように表します。標準偏差は σ で、平均 μ は分布の中心、標準偏差 σ は値のばらつきの大きさを表します。
正規分布の重要な点は、平均と標準偏差が決まれば分布の位置と広がりが決まることです。そのため、正規分布を見るときは「中心がどこか」と「どの程度広がっているか」の2点をまず確認すると理解しやすくなります。
正規分布の主な特徴
平均を中心に左右対称になる
正規分布は、平均を通る縦線を境に左右が対称です。平均より小さい側と大きい側が同じ形になり、値は平均付近に集まりやすく、平均から離れるほど少なくなります。
曲線の両端は横軸に近づいていきますが、ある地点で突然0になるわけではありません。極端に平均から離れた値も理論上は取り得ますが、その確率は小さくなります。
平均・中央値・最頻値が一致する
左右対称で中央が最も高い正規分布では、平均・中央値・最頻値が同じ位置にあります。つまり、「値の中心」「半分に分ける位置」「最も山が高い位置」が一致します。
ただし、実際に集めたデータが完全な正規分布になるとは限りません。現実のデータを見るときは、正規分布を基準となるモデルとして考え、実データがどの程度その形に近いかを確認します。
標準偏差が大きいほど横に広がる
平均が同じ正規分布でも、標準偏差が異なれば形は変わります。標準偏差が小さいと値は平均の近くへ集まり、曲線は細く高くなります。標準偏差が大きいと値が広い範囲へ散らばり、曲線は横に広く低くなります。
標準偏差そのものについては、「分散・標準偏差・四分位数・パーセンタイルの違いと活用方法」で詳しく解説しています。

標準偏差で正規分布の広がりを見る
正規分布では、平均から標準偏差何個分の範囲かを見ることで、値がどの程度集まっているかを把握できます。
- 平均 ± 1標準偏差の範囲:約68%
- 平均 ± 2標準偏差の範囲:約95%
- 平均 ± 3標準偏差の範囲:約99.7%
例えば、平均70、標準偏差10の正規分布を考えると、60~80は平均±1標準偏差に当たるため、全体のおよそ68%がこの範囲に含まれます。50~90なら平均±2標準偏差なので、およそ95%が含まれます。
この見方を使うと、値が平均からどれくらい離れているかを、単なる差ではなく「ばらつきに対してどの程度離れているか」として捉えられます。
正規分布では確率を曲線の面積で考える
正規分布は連続型確率分布なので、ある区間に入る確率は、その区間の曲線の下にある面積として表します。曲線全体の下の面積を1とすると、特定の範囲に対応する面積がその範囲の確率になります。
例えば、平均の左側と右側は対称なので、それぞれ全体の半分に当たります。また、平均±1標準偏差の区間の面積が約0.68であるため、「その範囲に入る確率は約68%」と読めます。
曲線の高さそのものを、ある1点が出る確率と考えないことが重要です。連続型確率分布では、1点ではなく区間の面積で確率を考えます。
標準正規分布との違い
標準正規分布は、正規分布の一種です。平均が0、標準偏差が1になるようにそろえた特別な正規分布を標準正規分布と呼びます。
一般の正規分布では平均や標準偏差がさまざまですが、標準化すると「平均から標準偏差何個分離れているか」という共通の尺度で比べられます。Z変換や標準正規分布表を使った確率計算は、「標準正規分布とは?平均・分散・Z変換で確率を求める方法」で扱います。
この記事では、標準化の計算方法には踏み込まず、正規分布そのものの形と読み方を理解するところまでを範囲とします。
正規分布を見るときの基本的な考え方
正規分布を見たときは、最初から数式を追うより、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 平均 μ はどこか
- 標準偏差 σ はどのくらいか
- 知りたい値は平均から何σ離れているか
- その範囲が曲線全体のどの程度の面積に当たるか
この4点を押さえると、正規分布の位置と広がりを読み取り、その後の標準化や確率計算へ進みやすくなります。
まとめ
正規分布は、平均を中心に左右対称の釣鐘型をした連続型確率分布です。平均 μ が分布の中心を、標準偏差 σ が分布の広がりを決めます。
正規分布では、平均±1標準偏差に約68%、±2標準偏差に約95%、±3標準偏差に約99.7%が含まれます。まず平均と標準偏差から分布の位置と広がりを読み取り、次に標準正規分布やZ変換へ進むと、確率計算の意味を理解しやすくなります。