【ネットワーク】通信媒体

概要

コンピューターをネットワークに接続するときには物理的な媒体で接続する必要があります。ここではそれらについて説明していきます。

同軸ケーブル

イーサネットやIEEE802.3で使用される同軸ケーブルには10BASE5と10BASE2の2つの規格があり、ケーブルの両端にはターミネーターと呼ばれる50Ωの終端抵抗を取り付けます。ターミネーターは、信号の反射を防止し、信号の品質を保つ役割があります。また、ケーブルのインピーダンスを整合させることで、ノイズの影響を最小限に抑えます。

10BASE5では、太いThickケーブルを使用し、通常はケーブルに沿って設置されたAUIポートを介してトランシーバーを接続します。増設時には予め設置していた空きAUIポートを利用してトランシーバーを新設します。この規格は高い信頼性と長距離伝送が可能ですが、設置が複雑であり、同軸ケーブルの増設時の処理によって既存の通信品質へ影響を与える可能性があります。

一方、10BASE2は細いThinケーブルを使用し、T型のBNCコネクタで接続します。柔軟性があり、比較的簡単に設置できますが、信頼性や最大伝送距離に制約があります。10BASE2では増設時に一時的に断線状態になるため、設置計画を事前に十分に検討する必要があります。

これらの規格は、異なるニーズや環境に応じて選択されるべきです。システムの信頼性や性能を最大限に引き出すためには、適切な規格と設置方法を選定することが重要です。

ツイストぺアケーブル

ツイストペアケーブルは、導線を2本1組でより合わせたケーブルで、通常の導線に比べてノイズを低減し、信号の減衰を抑える効果があります。この特性から、主にイーサネットの媒体として広く使用されています。

ツイストペアケーブルの伝送方法には主に2種類あります。

RS-232C方式は、0ボルトのグラウンド信号に対して、送信するビット列に対応した変化を1本の線に流して処理します。たとえば、データの受信側はこれを読み取り、正確な情報として再構成します。

一方、RS-422方式では、プラス側の信号とマイナス側の信号を1対にして送信します。これにより、信号の変化を打ち消し合い、外部ノイズの影響を抑えることができます。また、グラウンド信号を使用しないため、信頼性が高まります。

ツイストペアケーブルは、その高い信頼性とノイズ低減効果から、特にデータ通信の分野で重宝されています。

ツイストペアケーブルには、STP(Shielded Twisted Pair)とUTP(Unshielded Twisted Pair)の2種類があります。STPはケーブル外皮の下にシールドと呼ばれるアルミ箔や網目の導線でツイストペアケーブルを保護しているもので、UTPはこれを持たないタイプです。このシールドは片端もしくは両端を接地することで外部からの電気的影響への耐性を高めます。STPはUTPに比べて電気的な干渉に対して強いですが、敷設が複雑でケーブルの価格が高くなる傾向があります。

また、ツイストペアケーブルは通信速度によってカテゴリという区分があります。以下は主なカテゴリとそれぞれの通信速度、利用するデータリンクの例です。

ケーブル種通信速度利用するデータリンク
カテゴリ3~10Mbps10BASE-T
カテゴリ4~16MbpsToken Ring
カテゴリ5~100Mbps100BASE-TX,ATM,FDDI
エンハンスドカテゴリ5~1000Mbps1000BASE-T
カテゴリ6~1000Mbps1000BASE-T
カテゴリ6A~10Gbps10GBASE-T

ツイストペアケーブルは、2本の導線を1ペアとして4ペアで外被に包み、1本のケーブルとします。各ペアはプラス側とマイナス側で相殺することでノイズ低減効果を発揮します。したがって、どの接点にどのペアが接続されているかが重要です。この規格には複数の種類があり、それぞれに適した配線方法が必要です。

光ファイバーケーブル

光ファイバーケーブルは、同軸ケーブルやツイストペアケーブルでは達成できない長距離通信やノイズからの保護が必要な場合、または高速通信が必要な場合に利用されます。通常、100Mbps程度の通信にはマルチモードタイプが使用されますが、より高速で長距離通信を行う場合にはシングルモードタイプのケーブルが選ばれます。

マルチモードタイプの光ファイバーのコア径は通常50μmから100μm程度ですが、シングルモードタイプは数μm程度の細いコア径となります。そのため、シングルモードタイプの施工が技術的に難しいです。マルチモードタイプでは光がコア内で反射しながら伝搬しますが、シングルモードタイプでは光は直線的に伝搬します。

光ファイバーは扱いが難しく、専門技術と高価な機器が必要です。敷設する際には将来の増設計画や拡張性を考慮し、接続経路や使用する媒体、敷設回線数などを慎重に計画することが重要です。光ファイバーはATMやギガビットイーサネット、FTTH(光ファイバーによる家庭までの高速通信)に利用されるだけでなく、WDM(波長多重伝送)技術により1本の光ファイバーに複数の異なる波長の光を同時に流すことで、将来のネットワークを支える重要な通信媒体として期待されています。

無線

無線通信は電磁波を使って情報を伝送する技術です。電磁波は波長によって性質や名称が異なります。一般的に、マイクロ波以上の高周波数の電磁波を総称して電波と呼びます。ネットワークの無線通信では特に、赤外線とマイクロ波が広く利用されています。赤外線は、IrDAという方式で近距離通信に使用され、パソコンやスマートフォン同士の通信に適しています。

マイクロ波は波長が短く、非常に高い指向性を持っています。この特性により、通信回線や静止衛星を利用した長距離通信に特に適しており、離島や山岳地帯でもアンテナを設置することで通信が可能です。

無線LANでは主に2.4GHz帯の極超短波が使用されており、電波は広がりを持って伝わるため、同じ周波数帯の近接する通信機器との干渉を防ぐために周波数帯の管理が重要です。

一部の周波数帯では免許が必要ですが、可視光線のレーザーを使った長距離無線通信は免許が不要です。レーザー光は安全で取り扱いが容易ですが、その指向性から、機器の位置や揺れによって通信相手に届かない場合があります。

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