DS3:逆行列の定義、および逆行列を求めることにより行列表記された連立方程式が解けることを理解している
データサイエンティスト検定のスキルチェックリストDS3に関する解説を行います。
行列はさまざまな用途で利用されますが、その一つに「行列を利用して連立方程式を解く」があります。
逆行列:ある行列(A)に乗算する事で単位行列(E)になる行列(A^-1)の事を逆行列と呼び下図で示す。
逆行列の求め方
二次正方行列の逆行列の求め方を説明します。二次正方行列の場合は下記の式で求める事が出来ます。
この公式はad-bc≠0の時に成り立ち、ad-bcはAの行列式と呼び、「det(A)」もしくは「|A|」で表します。
≪公式≫
≪例≫
行列を使用して連立方程式を解く
前述の逆行列を使用した連立方程式の解法を開設します。
(1) まず連立方程式を行列を使って表します。
(2)両辺に逆行列を乗算する事で解を得られる。
多次元での逆行列の求め方
前述した方法で2×2の行列については対応できるが、3×3や4×4など大きくなると「掃出し法」と呼ばれる方法を使用して求めることが出来る。
- 逆行列を求めたい行列Aの右隣に単位行列を付加する。
- 「行基本変形」という操作を繰り返し行い「単位行列」「逆行列」の形にする。
- 左側の単位行列を取り除いた残りが行列Aの逆行列である。
行基本変形では下記の3つの操作を行う事が出来る。
① 要素の交換: 行列の行を交換する。
② 定数倍: 行の全要素を定数倍する
③ 行の加算: 行に別の行の定数倍を加える。
下記に例を示す。
1.逆行列を求めたい行列Aの右隣に単位行列を付加する。
2.1行目を-2倍した値を3行目に加算する。
3.2行目を-2倍した値を1行目へ加算する。
4.3行目を-1/3倍する。
5.2行目を-1倍した値を3行目へ加算する。
6.3行目を-2倍した値を1行目へ加算する。
7.3行目を2倍した値を2行目へ加算する。
8.3行目をー1倍する事で左の行列が単位行列となり、右側に逆行列が完成する。
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