DS229:階層クラスター分析において、デンドログラムの見方を理解し、適切に解釈できる
この記事では「デンドログラム」について解説します。この手法は、データを階層的に分類し、似た特徴を持つデータをグループ化します。その結果を視覚化するツールがデンドログラムで、クラスター間の結合を明確に示します。ここでは、デンドログラムの基本的な構造と実践的な活用方法について紹介します。
デンドログラムの定義と役割
デンドログラムとは、データ間の類似度を基にした階層クラスター分析の結果を示す樹状図です。この図により、データがどの段階でグループ化され、どの距離で結合されるかを把握できます。横軸にクラスター、縦軸には類似度や距離が表示されます。
デンドログラムの構造と距離計算方法
デンドログラムには次の要素があります。
- 結合レベル:縦軸に表示される数値で、クラスターが結合した距離を表します。結合レベルが低いほど、クラスター間の類似度が高いことを示します。
- 階層的クラスタリング:最初は個別のデータポイントとして表れ、段階的にクラスターが結合されていきます。
データポイント間の距離計算方法
クラスターを作成する際に重要なのは、データ間の距離です。以下の距離測定方法がよく使われます。
- ユークリッド距離:2つの点間の直線距離を計算。
- マンハッタン距離:各軸に沿って移動する距離を計算する方法。
- マハラノビス距離:データの分散を考慮して計算する、主に多変量データで使う距離。
これらの距離は、データの類似性を数値で測定するために使用されます。
クラスター間の距離の計算方法
クラスター間の距離を計算する方法は、デンドログラムの作成において重要です。以下は主な計算方法です。
- 最短距離法(単リンク法):2つのクラスターのうち最も近いデータポイント間の距離を基に結合。
- 最長距離法(完全リンク法):最も遠いデータポイント間の距離で結合。
- 平均距離法(平均リンク法):全データポイント間の平均距離を計算。
- 重心法(ウォード法):クラスターの重心(中心)間の距離で結合。
これにより、クラスターの結合プロセスが変わり、異なるグループ化結果が得られます。
デンドログラムの実践的な解釈
デンドログラムの解釈においては、特定のポイントに注意が必要です。
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クラスターの分割
縦軸の距離に基づき、どの時点でクラスターが分割されるか確認します。ある一定の距離で横線を引くと、その下にいくつのクラスターが存在するかが視覚化できます。 -
クラスターの階層関係
各クラスターが階層的にどのような関係で結合されているかを見て、どのグループが他のグループに含まれているかを確認します。 -
距離の比較
クラスター間の距離を比較することで、各クラスターがどれほど異なっているかを把握できます。距離が大きいほど、クラスター間の違いが顕著です。
デンドログラムのビジネスでの活用事例
実際のビジネスでのデンドログラムの活用例としては、顧客の購買パターン分析があります。小売業では、顧客の購買履歴をクラスター分析し、デンドログラムで視覚化することで、似た購買行動を持つ顧客グループを特定できます。これにより、ターゲットマーケティングやパーソナライズされたプロモーションが可能になります。
例えば、以下のように使えます。
- ターゲティングの最適化:クラスターに基づいて、どの顧客層に特定のプロモーションを行うかを判断できます。
- 新製品開発のヒント:似た傾向を持つクラスターを基に、特定のニーズに応じた新製品を提案できます。
まとめ
デンドログラムは、階層クラスター分析を視覚化するための強力なツールです。適切な距離測定方法を理解し、クラスターの階層的な関係を把握することで、より深いデータ分析が可能になります。また、ビジネスにおいても顧客分類やターゲティングなど、さまざまな場面で応用できるため、デンドログラムを使いこなすことはデータサイエンティストにとって必須のスキルです。データサイエンティスト検定DS229のスキルに対応した知識として、これらのポイントを理解し、実践に活用してください。
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