オンプレミス vs IaaS:バックアップとアーカイブを解説

DE009:オンプレミス環境もしくはIaaS上のデータベースに格納された分析データのバックアップやアーカイブ作成などの定常運用ができる

現代の情報化社会では、データの重要性がかつてないほど高まっています。特にビッグデータ解析の進展により、膨大なデータが日々生成され、それを適切に保護・管理することが、組織の成長や競争力に直結しています。データのバックアップやアーカイブは、万が一のデータ損失や不正アクセスに備えるための基本対策です。

オンプレミス環境とIaaS(クラウド)環境では、それぞれ異なる特徴があるため、適切な戦略を選ぶことが重要です。本記事では、これらの違いを解説し、それぞれの環境に合ったバックアップとアーカイブの方法を詳しく見ていきます。


1. オンプレミス環境とIaaSの違い

1-1. オンプレミス環境の説明

オンプレミス環境は、自社内でサーバーやネットワーク機器を所有・管理し、すべてのデータとシステムを物理的に社内で管理する形態です。利点としては、高いカスタマイズ性とセキュリティコントロールが挙げられますが、ハードウェアの管理やコストが課題となります。

1-2. IaaS環境の説明

IaaSは、インターネット経由で提供される仮想サーバーを使ってシステムを構築するクラウド型の環境です。AWSやAzureなどが代表的なサービスです。拡張性(スケーラビリティ)が高く、インフラの管理コストを低減できる一方で、データの物理的な管理はクラウドプロバイダに依存します。


2. バックアップとアーカイブ

バックアップの手法を解説

バックアップは、データ損失やシステム障害からの迅速な回復を目的としたデータのコピー作成プロセスです。主なバックアップ手法には以下のものがあります。

  • フルバックアップ
    全てのデータを完全にコピーする方法です。データの全体をバックアップするため、復元時には最も簡単で迅速に行えますが、バックアップにかかる時間とストレージ容量が多くなります。定期的に実施することが推奨されますが、リソース消費が大きいのが欠点です。

  • 差分バックアップ
    最後に実施したフルバックアップ以降に変更されたデータのみをバックアップします。フルバックアップよりもバックアップ時間が短く、ストレージの使用量も少なく済みます。しかし、復元時には最後のフルバックアップと最後の差分バックアップの両方が必要になるため、復元作業が複雑になることがあります。

  • 増分バックアップ
    前回のバックアップからの変更点のみをバックアップする方法です。バックアップにかかる時間とストレージ容量が最も少なくて済みますが、復元時には最後のフルバックアップとその後の全ての増分バックアップが必要になります。復元プロセスが複雑で時間がかかる場合があります。

アーカイブの要点を解説

アーカイブは、頻繁には使用しないが将来的に利用する可能性のあるデータを長期間にわたり保存するプロセスです。ここでは、アーカイブにおける選択の要点と管理のポイントについて説明します。

  • データ圧縮
    データ圧縮は、保存領域を効率的に使用するための手法です。圧縮により、ストレージコストを削減し、長期的な保存に適した形でデータを保存できます。圧縮の種類には、可逆圧縮と非可逆圧縮があり、可逆圧縮では元のデータに完全に復元可能です。非可逆圧縮では圧縮率が高いですが、一部のデータが失われる可能性があります。圧縮には処理時間がかかる場合があり、圧縮の効率を考慮する必要があります。
  • ストレージの選定
    アーカイブデータの保存には、コストやアクセス頻度に応じたストレージの選定が重要です。クラウドストレージは拡張性が高く、管理が容易ですが、長期的にはコストがかさむ可能性があります。テープストレージは、長期保存においてコストパフォーマンスが優れており、データの物理的な管理も可能ですが、アクセス速度が遅く、管理に手間がかかることがあります。その他、ディスクストレージなども選択肢に含まれます。
  • データの可読性と保守
    長期保存においては、データの可読性を維持することが重要です。保存メディアの劣化やフォーマットの変化に対処するため、定期的なデータのチェックやメディアの移行、フォーマットの更新が必要です。また、将来的にデータを取り出す際の互換性を考慮し、適切な形式で保存することが求められます。定期的なメンテナンスやバックアップの確認も、データの保守に役立ちます。

3. オンプレミス環境でのバックアップとアーカイブのポイント

オンプレミス環境では、データは物理的に自社内で管理されるため、バックアップやアーカイブを行う際にはハードウェアの管理も必要です。冗長化されたストレージシステムを構築し、災害時にも対応できるような体制を整えることが重要です。

  • バックアップのポイント: RAID構成のストレージや、オフサイトバックアップを活用し、ハードディスク障害や火災などに備える。
  • アーカイブのポイント: 長期保存のためのテープストレージや、低コストで保管できる光ディスクの使用が有効です。

4. IaaS環境でのバックアップとアーカイブのポイント

IaaS環境では、クラウドプロバイダのサービスを活用したバックアップ・アーカイブ戦略が求められます。多くのプロバイダは、データの自動バックアップやアーカイブサービスを提供しており、これらを適切に活用することが効率的です。

  • バックアップのポイント: スナップショット機能や、クラウドストレージを活用した自動バックアップを設定する。
  • アーカイブのポイント: Glacier(AWS)など、低コストで長期保存が可能なアーカイブサービスを利用し、データを安全に保管します。

5. まとめ

バックアップとアーカイブは、データの保護や管理の要です。オンプレミス環境では物理的なストレージ管理が必要であり、IaaS環境ではクラウドの自動化サービスを最大限に活用することが求められます。これらの違いを理解し、最適な方法でデータを管理することが、システム運用の安定性と効率性につながります。データサイエンティスト検定DE009のスキルに対応した知識として、これらのポイントを理解し、実践に活用してください。

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