はじめに
2つのデータが同じように増減していると、「一方がもう一方の原因なのでは」と考えたくなることがあります。しかし、データに関係が見えることと、原因と結果の関係があることは同じではありません。
相関関係は「2つの変数がどのように一緒に変化しているか」を表し、因果関係は「一方の変化がもう一方の変化に影響している関係」を表します。この記事では、この違いと、相関を因果と誤解しないための基本的な確認ポイントを整理します。
相関関係と因果関係の違い
相関関係と因果関係の大きな違いは、変数同士に関係が見えるだけなのか、原因と結果のつながりまで説明できるのかという点です。
| 観点 | 相関関係 | 因果関係 |
|---|---|---|
| 意味 | 2つの変数が関連して変化する関係 | 一方の変化がもう一方の変化に影響する関係 |
| 分かること | 一緒に増減する傾向や関係の強さ | 原因と結果のつながり |
| 注意点 | 第三の要因や偶然でも生じる | 因果を判断するには追加の根拠が必要 |
相関が確認できても、それだけで「AがBを引き起こした」とは言えません。相関は因果関係を考える手掛かりにはなりますが、それだけで因果関係を示すものではありません。
相関関係とは
相関関係とは、2つの変数が互いに関連して変化する関係です。一方が増えるともう一方も増える場合を正の相関、一方が増えるともう一方が減る場合を負の相関と呼びます。
例えば、気温が高い日にアイスクリームの売上と水難事故の件数がどちらも増えたとします。この2つには同じ時期に増える傾向が見られますが、「アイスクリームを買うと水難事故が増える」とは考えられません。
相関の強さを数値で確認する方法の一つが相関係数です。ピアソンの相関係数については「ピアソンの相関係数とは?分母と分子を解説」で詳しく説明しています。
因果関係とは
因果関係とは、ある要因の変化が別の結果の変化につながる関係です。原因と結果の向きがあり、単に2つの値が同時に変化しているだけでは因果関係とは判断できません。
例えば、適切に設計された実験で、ある条件だけを変えたグループと変えないグループを比較し、他の条件をできるだけそろえたうえで結果に一貫した差が確認できれば、因果関係を考えるための根拠が強くなります。処置群と対照群の考え方は「処置群と対照群とは?違いや効果測定のポイントを解説」で説明しています。
相関があっても因果関係とは限らない理由
第三の要因が両方に影響していることがある
相関が見える2つの変数に、別の要因が影響していることがあります。先ほどのアイスクリームの売上と水難事故の例では、「気温」という第三の要因が両方を増やしていると考えられます。
このように、原因と結果の両方へ影響して関係の解釈を難しくする要因を交絡因子と呼びます。交絡因子を含む変数間の関係は「データ分析の変数と因子の違いとは?因果関係を正しく理解する」で詳しく扱います。
原因と結果の向きが逆かもしれない
2つの変数に関係があっても、どちらが原因なのかは相関だけでは分かりません。例えば「運動する人ほど健康状態が良い」という関係が見えても、運動が健康状態を改善している面だけでなく、もともと健康な人ほど運動しやすい可能性もあります。
そのため、因果関係を考えるときは、どちらの変化が先に起きたのか、逆方向の説明でも成り立たないかを確認する必要があります。
因果関係を考えるときの確認ポイント
原因と考える出来事が先に起きているか
原因は結果より先に起こる必要があります。時系列を確認せず、同じ時点のデータに相関があるという理由だけで因果関係を決めないことが重要です。
他の要因で説明できないか
年齢、季節、地域、生活習慣など、両方の変数へ影響する別の要因がないか確認します。第三の要因を考慮すると、最初に見えていた関係が弱くなったり、別の説明が適切だと分かったりすることがあります。
条件を変えたときに結果も変わるか
可能な場合は、条件を変えたグループと変えないグループを比較すると因果関係を検討しやすくなります。ただし、実験を行えば自動的に因果関係が確定するわけではなく、無作為化や比較条件などの設計も重要です。実験設計の基本は「実験計画法の3原則とは?無作為化・反復・局所管理化を解説」で扱います。
相関関係は何の役に立つのか
相関だけで因果関係を断定できないからといって、相関が役に立たないわけではありません。相関は、関係しそうな変数を見つけたり、詳しく調べるべき仮説を立てたりする探索の手掛かりになります。
因果関係まで考える場合は、時間順序、第三の要因、実験や追加データなど、相関以外の根拠も確認します。「相関がある」と「原因である」を区別して考えることが重要です。
まとめ
相関関係は、2つの変数が関連して変化する関係です。一方、因果関係は、一方の変化がもう一方の変化に影響する原因と結果の関係です。
相関があっても、第三の要因が両方に影響していたり、原因と結果の向きが逆だったりする可能性があります。因果関係を考えるときは、時間順序、他の要因、条件を変えたときの結果などを確認し、相関だけで結論を出さないことが大切です。