DS251:形態素解析や係り受け解析のライブラリを適切に使い、基本的な文書構造解析を行うことができる
「形態素解析」と「係り受け解析」、結局なにが違う?
・文章を単語に分けるだけで、何が分かるの?
・係り受け解析って、どんな場面で使われるの?
・NLPライブラリを「使える」とは、どこまでできればいい?
この記事では、こうした疑問を持つ方に向けて、
形態素解析と係り受け解析の違い・役割・使い分けを、
できるだけ噛み砕いて解説します。
プログラミングやデータ分析の専門職に限らず、
業務文書の分析、問い合わせ内容の整理、文章理解の自動化など、
「文章を構造的に扱いたい人」にとって役立つ内容を目指しています。
ここで重要なのは、「アルゴリズムを一から実装できること」ではなく、
「どの解析で、どんな情報が得られるか」を理解して使えることです。
形態素解析とは?
形態素解析とは、文章を 意味を持つ最小単位(形態素)に分解し、品詞などの情報を付与する処理 です。
日本語は英語と違い、単語の区切りが明確ではありません。
そのため、文章を扱う最初のステップとして形態素解析が使われます。
例:「私はAIの専門家です。」
形態素解析を行うと、以下のように分解されます。
私:名詞(代名詞)
は:助詞
AI:名詞
の:助詞
専門家:名詞
です:助動詞
この結果から、「どんな単語が使われているか」、
「名詞が多い文章か」、「動詞が多い文章か」といった情報を
機械的に扱えるようになります。
キーワード抽出や頻度分析の土台になる処理です。
係り受け解析とは?
係り受け解析は、
文中の語や文節が「どの語に、どのように関係しているか」を解析する処理です。
形態素解析が「分解」だとすると、係り受け解析は「つながりの理解」と言えます。
先と同じ文で例示します。
「私はAIの専門家です。」
係り受け解析では、次のような関係が捉えられます。
「AIの」 → 「専門家」を修飾している
「専門家」 → 「です」という述語に係っている
「私」は文全体の主語として「です」に対応している
これにより、
「誰が」
「何について」
「どうであるか」
といった 文の骨格 が見えるようになります。
形態素解析と係り受け解析の違い
| 観点 | 形態素解析 | 係り受け解析 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 単語に分解する | 文の構造を理解する |
| 得られる情報 | 単語・品詞 | 修飾・依存関係 |
| 利用例 | キーワード抽出 | 主語・目的語の把握 |
| 位置づけ | 前処理 | 構造解析 |
多くの場合、形態素解析 → 係り受け解析という順で使われます。
Pythonで利用される代表的な解析ライブラリ
CaboCha
日本語の係り受け解析に特化したツールです。
内部で形態素解析を行い、文節単位の依存関係を出力できます。
・日本語文の構造把握
・文法的な関係の分析
・に向いています。
KNP
形態素解析から構文・意味解析までを統合的に扱うシステムです。
より詳細な解析が可能な反面、学習コストはやや高めです。
NLTK
Pythonの自然言語処理ライブラリで、主に英語向けですが、
構文解析やテキスト処理の考え方を学ぶ用途でもよく使われます。
まとめ
・形態素解析は「文章を分解する」ための基礎技術
・係り受け解析は「文章の構造を理解する」ための技術
形態素解析と係り受け解析は、テキストデータの理解を深めるために不可欠な技術です。MeCabやJanome、CaboChaなどのライブラリを使用することで、テキストの構造を正確に解析し、有益な情報を抽出できます。これにより、データサイエンスや自然言語処理のプロジェクトにおける分析精度が向上します。ぜひ、これらの技術を活用して、より深いテキスト解析を試みてください。


コメント