「ネットワーク層ってどんな役割があるの?」と疑問に思ったことはありませんか?この記事では、OSI参照モデルの第3層「ネットワーク層」について、IPアドレスの仕組みやデータを効率的に転送するルーティングの機能を解説します。
ネットワーク層の概要
ネットワーク層は、OSI参照モデルの第3層に位置し、ネットワーク間でデータを送受信する際の経路を決定します。具体的には、IPアドレスを使用して、複数のルーターを通じて目的地までのデータ転送を管理します。
ネットワーク層の役割
ネットワーク層の主な役割は、データを送信者から受信者まで届けるための「ルーティング」と「アドレッシング(アドレス割り当て)」です。これにより、異なるネットワーク間でも通信が可能になります。
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ルーティング(経路制御)
データは送信元から目的地までの経路を複数のルーターを通じて移動します。この経路の選択を「ルーティング」と呼びます。ネットワーク層では、最適な経路を選んでパケットが効率よく届けられるように制御します。 -
アドレッシング(IPアドレスの管理)
送信元と目的地を一意に識別するため、グローバルに一意なIPアドレスを使用します。これにより、送信者はデータリンク層の物理的な接続を意識することなく通信できます。
IPアドレスとサブネットマスク
IPアドレスは、デバイスをネットワーク上で一意に識別する番号です。現在は、32ビットのIPv4と128ビットのIPv6が使用されています。IPv6は、IPv4のアドレス不足を解消するために導入されました。
- IPv4: 192.168.0.1 のように、10進数で4つの数字で表されます。
- IPv6: 2001:0db8:85a3::8a2e:0370:7334 のように、16進数で表されます。
また、IPアドレスには「サブネットマスク」が存在し、ネットワーク内のどの部分がネットワークアドレスで、どの部分がホストアドレスであるかを区別します。
ルーティングプロトコルの仕組み
ネットワーク層では、複数の経路が存在する場合、最適な経路を選択するための「ルーティングプロトコル」が使用されます。代表的なプロトコルとして、OSPF(Open Shortest Path First)やBGP(Border Gateway Protocol)があります。
- OSPF
内部のネットワーク間での最短経路を選択するプロトコル。 - BGP
インターネット全体のような大規模ネットワーク間での経路を選定するプロトコル。
これらのプロトコルにより、データはネットワーク間で効率的に転送されます。
データリンク層との違い
ネットワーク層とデータリンク層の大きな違いは、「通信の範囲」と「使用するアドレス」です。データリンク層は物理的に直接接続されたデバイス間での通信を管理し、MACアドレスを使用します。一方、ネットワーク層はエンドツーエンドでの通信を管理し、IPアドレスを使用します。
階層 | 通信範囲 | 使用アドレス |
---|---|---|
ネットワーク層 | 異なるネットワーク間での通信を制御 | IPアドレス |
データリンク層 | 直接接続されたデバイス間での通信を制御 | MACアドレス |
まとめ
ネットワーク層は、データを送信元から受信者まで届けるために、IPアドレスを使ってルーティングを行います。OSPFやBGPなどのプロトコルを活用し、効率的な経路を選択します。データリンク層との違いも理解することで、ネットワーク通信全体の仕組みを把握しやすくなります。
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