DS033:量的変数の散布図を描き、2変数の関係性を把握できる
はじめに
データ分析において、変数同士の関係性を理解することは意思決定や課題発見のために非常に重要です。
この記事では、散布図を用いた量的変数間の関係性の見極め方を、具体例とともに解説します。
読むことで以下の点が解決できます。
・データの傾向やパターンの視覚的把握
散布図の作成・読み取りによって、相関関係や分布の状態、外れ値の存在を直感的に理解できるようになります。
・分析視点の拡大
レンジやスケールの変更が如何に相関の有無を示すか、さまざまな視点でデータを観察する方法がわかります。
・実務への応用方法
ビジネスの意思決定やプロセス改善、予測モデル作成の際に、散布図から得られる示唆をどのように活かすかの考え方が身につきます。
散布図の基本概念
散布図とは、2つの量的変数の値をXY平面上にプロットしたグラフです。
各点が示す意味は以下の通りです。
個々のデータ点
各点は、1組の数値データ(例:身長と体重、温度と売上など)の位置を表現します。
全体の傾向
点の集まり方、偏り、密集エリアやまばらな部分から、相関関係(正の相関、負の相関、または無相関)を直感的に把握できます。
外れ値の検出
他の点と明らかに異なる値の場合、外れ値として注目し、原因の検証やデータ修正の必要性を確認できます。
散布図の作成と注意すべきポイント
散布図作成時に留意すべき主なポイントを以下にまとめます。
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スケールとレンジの調整
・表示する範囲を適切に設定することで、全体のデータ傾向が見やすくなります。
・一見相関がないように見えても、レンジを広げると傾向が浮かび上がる場合があるため、多角的にチェックしましょう。 -
相関関係の視覚的判定
正の相関:左下から右上に向かって点が集まる。例として、身長と体重の関係。
負の相関:左上から右下に向かって点が並ぶ。
無相関:点がランダムに散らばっている場合で、明確な傾向は見られない。 -
外れ値の確認
一部の点が全体のパターンから大きく外れている場合、その原因やデータエラーの可能性を検討する必要があります。 -
データの粒度と視点
・データの表示粒度(たとえば、日単位、週単位の集計など)によって、見えるパターンは大きく異なることがあります。
・複数の視点からデータを確認することで、より正確な傾向の把握が可能になります。
具体的な事例と解説
事例1:健康管理データの例
データ内容:個人の身長と体重
散布図の特徴
・多くのデータ点が左下から右上に向かって密集
・数値が高いほど、体重も増加する傾向が見られる
・一部外れ値があり、例えば急激に高い体重のデータは確認が必要
この事例からは、健康状態の管理や生活習慣の改善を検討する際、基礎データの正確性や異常値の原因究明の重要性がわかります。
事例2:売上と気温の関係
データ内容:ある日の最高気温とアイスクリームの売上
散布図の特徴
・気温が上がるにつれて売上が増加する傾向
・ただし、一部の日は予測を大きく外れたデータも存在
・この外れ値は、特定のプロモーションや天候の変動が影響している可能性を示唆
この例では、ビジネスにおける売上予測やプロモーションの効果測定にも散布図が活用できる点を強調しています。
散布図を用いたデータ分析のコツ
多角的な視点の導入
単一の視点だけでは見逃しがちなパターンを、複数のスケールや角度で確認することが肝要です。
データ品質の確認
外れ値や極端な変動がある場合、再調査やデータクリーニングを検討し、信頼性の高い分析に繋げます。
状況に応じた柔軟な対応
分析対象の業務や課題に合わせ、どの変数間の関係性が最も重要かを判断し、カスタマイズした解析を行いましょう。
まとめ
散布図は、単なるグラフ以上のものであり、変数間の隠れた関連性や傾向、外れ値の手がかりを視覚的に捉えるための有効なツールです。この記事では、散布図の基本概念から具体的な作成方法、さらに実際の事例を通して応用のヒントを提供しました。多角的な視点からデータを再確認することで、日常の業務改善や戦略的な意思決定に大いに役立てることができます。
今後のデータ分析において、散布図を活用して新たな発見や課題解決の一助としてください。
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