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静的ルーティングと動的ルーティングの違いとは?経路設定の仕組みを解説

静的ルーティングと動的ルーティング ネットワーク
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はじめに

ルーターが宛先へパケットを転送するには、あらかじめ利用できる経路情報が必要です。その経路情報を用意する代表的な方法が、静的ルーティングと動的ルーティングです。

静的ルーティングでは管理者が経路を設定し、動的ルーティングではルーティングプロトコルを使ってルーター同士が経路情報を学習・更新します。この記事では、両者の違いを経路の登録方法、ネットワーク変更への対応、管理負荷、プロトコルによる通信負荷という観点から整理します。

この記事で分かること

  • 静的ルーティングと動的ルーティングの基本的な違い
  • それぞれの方法で経路情報が登録される仕組み
  • 障害や構成変更が起きたときの違い
  • 管理負荷とルーティングプロトコルの通信負荷の違い
  • どのような場面で使い分けるか

静的ルーティングと動的ルーティングの違い

両者の最も大きな違いは、経路情報を誰が設定・更新するかです。

比較項目静的ルーティング動的ルーティング
経路の登録管理者が設定するルーティングプロトコルで学習する
構成変更への対応必要な経路を管理者が変更するプロトコルが変化を共有し、経路情報を更新する
管理負荷経路や機器が増えるほど設定管理が増える初期設計やプロトコル運用が必要だが、多数の経路を自動的に学習できる
プロトコル通信経路交換のための通信は発生しない経路情報の交換や状態確認のための通信が発生する
主な用途小規模・安定した構成、特定経路の固定経路数やルーター数が多い構成、複数経路を持つネットワーク

静的か動的かは、パケット転送時にどの経路を選ぶかという話とは別です。登録された経路から実際の転送先を選ぶ仕組みは、ルーティングテーブル(経路制御表)とは?宛先IPから経路を選ぶ仕組みを解説で解説しています。

静的ルーティングとは

静的ルーティング(Static Routing)は、管理者が宛先ネットワークと次ホップなどを指定し、経路を設定する方法です。

例えば、あるルーターから192.0.2.0/24へ送るときは特定の隣接ルーターへ渡す、と設定しておけば、その静的経路をルーティングテーブルの候補として利用できます。

静的経路は、ルーティングプロトコルを使って他のルーターから自動的に学習するものではありません。そのため、ネットワーク構成が変わって既存の経路を利用できなくなった場合、静的経路そのものが別経路を自動計算するわけではありません。必要であれば管理者が設定を変更するか、別の冗長化の仕組みを組み合わせます。

デフォルトゲートウェイそのものを冗長化したい場合は、複数のルーターを仮想的な1台として扱うVRRPを組み合わせる方法があります。

一方で、経路交換のためのプロトコル通信が不要で、設定した経路を意図どおりに使いやすい点は静的ルーティングの特徴です。経路数が少なく、構成変更も少ないネットワークでは管理しやすい方法です。

動的ルーティングとは

動的ルーティング(Dynamic Routing)は、RIP、OSPF、BGPなどのルーティングプロトコルを利用し、ルーターが経路情報を学習・更新する方法です。

ルーティングプロトコルは、到達可能なネットワークや経路選択に必要な情報を他のルーターと交換します。受け取った情報とプロトコルごとの判断基準を使って、利用する経路を決めます。

ネットワークの接続状態や到達可能性が変わると、その変化がルーティングプロトコルを通じて伝わり、各ルーターが経路を更新します。ただし、変化を検知してから新しい経路情報が各ルーターへ行き渡るまでには時間がかかります。この状態が落ち着くまでの過程を収束と呼びます。

動的ルーティングを使えば、管理者がすべての宛先経路を1件ずつ手入力する必要は減ります。一方で、プロトコルの設定、経路設計、状態監視が必要になり、CPU・メモリや経路情報交換のための通信も使用します。

障害や構成変更への対応を比較する

静的ルーティングと動的ルーティングの違いが分かりやすく表れるのが、回線障害や経路変更が発生したときです。

静的経路は設定された内容に従うため、その経路が利用できなくなっても、静的経路自身がネットワーク全体を調べて代替経路を計算することはありません。代替経路へ切り替えたい場合は、別の静的経路や監視機能などをあらかじめ設計する必要があります。

動的ルーティングでは、プロトコルが隣接関係や経路情報の変化を検知・共有し、利用できる別経路があれば経路情報を更新して利用経路を選び直せます。ただし、「動的ルーティングなら必ず瞬時に迂回できる」という意味ではありません。利用するプロトコル、ネットワーク構成、タイマーなどによって収束までの時間は異なります。

このため、障害への追随性だけで静的・動的を決めるのではなく、必要な可用性と構成の複雑さを合わせて考えます。

管理負荷と通信負荷を比較する

静的ルーティングでは経路交換プロトコルを動かさないため、ルーティングプロトコルによる経路情報の交換や学習処理は発生しません。ただし、経路数やルーター数が増えるほど、管理者が設定内容を把握し、変更する負担が大きくなります。

動的ルーティングは、経路情報を自動的に学習できるため、多数の経路を持つネットワークでは管理しやすくなります。一方で、ルーター同士が経路情報や状態を交換し、経路計算を行うため、その分の通信・CPU・メモリを使用します。

つまり、静的ルーティングは「機器側のルーティングプロトコル処理を減らしやすい代わりに、人が経路を管理する範囲が広がる方法」、動的ルーティングは「人が個々の経路を設定する負担を減らせる代わりに、プロトコル自体を設計・運用する方法」と整理できます。

どちらを使うべきか

静的ルーティングと動的ルーティングは、どちらか一方だけを使うものではありません。ネットワークの役割に応じて併用できます。

経路が少なく構成が安定している場合や、特定の宛先へ明示的な経路を設定したい場合は、静的ルーティングが扱いやすいことがあります。デフォルトルートを静的に設定し、細かな経路を持たせない構成もその例です。

一方、ルーターやネットワークが多く、複数の経路が存在する環境では、動的ルーティングによって経路情報を交換する方が管理しやすくなります。

動的ルーティングの代表例として、RIPはホップ数を基準に経路を選びます。詳しくは、RIPとは?ホップ数で経路を選ぶルーティングプロトコルの仕組みを解説を参照してください。

OSPFはリンク状態型のIGPとして、同一の自律システム内で経路を計算します。仕組みは、OSPFとは?リンク状態型ルーティングの仕組みとエリア設計を分かりやすく解説で解説しています。

BGPは自律システム間で到達可能性情報を交換するために使われます。詳しくは、BGPとは?AS間で経路情報を交換する仕組みをわかりやすく解説を参照してください。

まとめ

静的ルーティングと動的ルーティングは、ルーティングテーブルへ経路情報を用意する方法の違いです。

  • 静的ルーティングは、管理者が経路を設定する
  • 動的ルーティングは、ルーティングプロトコルで経路情報を学習・更新する
  • 静的経路は、構成変更時に経路そのものを自動再計算しない
  • 動的ルーティングは、変化を共有して経路情報を更新できるが、収束には時間がかかる
  • 静的ルーティングは経路交換の通信を必要としないが、経路が増えると管理負荷が増える
  • 動的ルーティングは経路管理を自動化しやすいが、プロトコルの設計・監視と機器資源が必要になる
  • 実際のネットワークでは、目的に応じて静的経路と動的ルーティングを併用できる

「経路をどう登録・学習するか」と「登録済み経路からどれを使って転送するか」を分けて考えると、ルーティング全体の役割を整理しやすくなります。

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