はじめに
自宅や社内のパソコンでIPアドレスを確認すると、192.168.1.20のような値が表示される一方、Webサービスで確認したIPアドレスは別の値になることがあります。これは、IPv4でグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを使い分けているためです。
グローバルIPアドレスはインターネット側で使うアドレス、プライベートIPアドレスは家庭や会社などの内部ネットワークで使うために予約されたアドレスです。この記事では、両者の違い、プライベートIPアドレスとして使える範囲、外部通信でのNATとの関係を整理します。読み終えると、手元のIPv4アドレスがどちらに当たり、なぜ使い分けるのかを説明できるようになります。
グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの違い
両者の大きな違いは、アドレスを一意にする必要がある範囲と、インターネット上での扱いです。ここでいうグローバルIPアドレスは、特殊用途ではなく、インターネット上で利用するためにグローバルに一意となるよう割り当てられたIPv4アドレスを指します。
| 比較項目 | グローバルIPアドレス | プライベートIPアドレス |
|---|---|---|
| 主に使う範囲 | インターネット側 | 家庭・会社などの内部ネットワーク |
| 一意性 | グローバルに重複しないよう割り当てる | 同じ内部ネットワークで重複しないよう使う |
| インターネット上での扱い | 通常のインターネット通信で利用する | そのままではインターネット上の宛先として利用しない |
| 別ネットワークでの再利用 | しない | できる |
| 例 | ISPなどから割り当てられたIPv4アドレス | 192.168.1.20など |
例えば、自宅LANと別の会社のLANがどちらも192.168.1.20を使っていても、それぞれが独立したネットワークなら問題ありません。一方、同じLAN内で同じIPv4アドレスを複数の端末へ割り当てると、通信相手を正しく識別できなくなるため重複は避けます。
なお、プライベートIPアドレスではないIPv4アドレスが、すべて通常のグローバルIPアドレスとして使えるわけではありません。IPv4にはループバックやリンクローカルなど、特別な用途のために予約されたアドレスもあります。
グローバルIPアドレスとは
グローバルIPアドレスは、インターネット上で通信相手を識別できるよう、グローバルに一意となるよう割り当てられるIPv4アドレスです。家庭や会社からインターネットへ接続する場合は、ISPなどから提供されたグローバルIPアドレスが外部との通信に使われます。
グローバルかプライベートかはIPv4アドレスの利用範囲による分類です。32ビット表記、ネットワーク部とホスト部、サブネットマスクなどIPv4アドレスそのものの基本は、「IPv4アドレスとは?ネットワーク部・ホスト部とサブネットマスクを解説」で確認できます。
プライベートIPアドレスとは
プライベートIPアドレスは、家庭や会社などの内部ネットワークで使うために予約されたIPv4アドレスです。RFC 1918では3つのアドレス範囲がPrivate-Useとして定義されており、異なる組織が同じ範囲をそれぞれの内部ネットワークで再利用できます。
例えば、家庭のWi-Fiルーター配下と会社のLANで同じ192.168.1.0/24を使うことはできます。ただし、相互に通信する同一ネットワーク内では、各インターフェースへ割り当てるIPv4アドレスが重複しないようにします。
プライベートIPアドレスで使える3つの範囲
RFC 1918で定義されているプライベートIPv4アドレスは、次の3範囲です。
| プレフィックス | アドレス範囲 |
|---|---|
10.0.0.0/8 | 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255 |
172.16.0.0/12 | 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255 |
192.168.0.0/16 | 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255 |
172から始まるIPv4アドレスがすべてプライベートになるわけではありません。プライベートとして予約されているのは172.16.0.0から172.31.255.255までです。
また、100.64.0.0/10はRFC 1918のプライベートアドレスではありません。通信事業者がCarrier-Grade NAT(CGN)などで利用するShared Address Spaceとして別に予約されています。プレフィックス長の読み方やCIDRの考え方は、「CIDRとVLSMの違いとは?プレフィックス長とサブネット分割を解説」で確認できます。
プライベートIPアドレスからインターネットへ通信する場合
プライベートIPアドレスは、そのままインターネット上の宛先として利用するものではありません。家庭や会社から外部へ通信する場合は、境界にあるルーターなどでNATやNAPTを利用し、内部のプライベートIPアドレスと外部通信で使うアドレスを変換する構成が一般的です。NATやNAPTがどのようにIPアドレスやポート番号を変換するかは、「NATとは?NAPTとの違いとIPアドレス変換の仕組みを解説」で詳しく解説しています。
重要なのは、端末に設定されたプライベートIPアドレス自体がグローバルIPアドレスへ変更されるわけではないことです。端末は内部ネットワークではプライベートIPアドレスを使い、境界装置が通過するパケットのアドレスなどを変換します。
家庭のネットワークではどう使い分けるか
一般的なIPv4の家庭内LANでは、パソコンやスマートフォンには192.168.1.20のようなプライベートIPアドレスを設定し、インターネットとの境界となるルーター側でISPから割り当てられたグローバルIPアドレスを利用します。内部端末が外部へ通信するときは、ルーターがNATやNAPTによって通信を中継します。
この使い分けにより、家庭内の端末それぞれへグローバルIPv4アドレスを割り当てなくても外部通信ができます。まず内部で使うアドレスとインターネット側で使うアドレスを分けて考えると、ネットワーク設定を理解しやすくなります。
まとめ
グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの違いは、主に利用する範囲と、アドレスを一意にする必要がある範囲です。グローバルIPアドレスはインターネット側で利用するためグローバルに一意となるよう割り当てられ、プライベートIPアドレスは家庭や会社などの内部ネットワークで再利用できます。
IPv4のプライベートアドレスは10.0.0.0/8、172.16.0.0/12、192.168.0.0/16の3範囲です。プライベートIPアドレスを使う端末がインターネットへ通信する場合は、一般に境界のルーターなどでNATやNAPTを利用します。グローバルとプライベートを区別できれば、家庭や会社で見かけるIPv4アドレスがどこで使われるものか判断できます。